KNBふるさとスペシャル「山里に笑顔を配達 ~八尾の移動マーケット~」を視聴して

こんばんは、社長の品川です。今週火曜日、KNB北日本放送さんの第522回番組審議会が開催されました。今回の合評番組は、KNBふるさとスペシャル「山里に笑顔を配達 ~八尾の移動マーケット~」でした。

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番組は、富山県八尾町の山村に、移動マーケット車で生鮮な食品などを販売する、田保さんへの4年間の取材を通して、限界集落の抱える様々な社会的な問題点を世に問うた、意欲的な作品だと思いました。

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山里の四季の美しい映像を随所に挿入しながら、そこに住む高齢者の方々の暮らしと利便性を何よりも優先してきた、移動マーケットを営む田保さんの使命感を、番組は終始強調していました。

20131215-005926.jpg 20131215-005804.jpgと同時に、移動マーケットの事業としての採算性や、田保さん自身の高齢化、また後継者の問題を浮き彫りにするとともに、いわゆる限界集落に住む高齢者の方々それぞれの人生への想い、また生まれ育ったふるさとへの想い、そして高齢者の介護と家族の関係、終末ケアのあり方など、多くの問題を社会に投げかけた、力作だと感じました。

番組は終始明るいトーンで、一人一人のみなさんの自然な笑顔やインタビューを散りばめながら、それでいてこのある意味深刻な社会問題をあらわにしていました。つまるところ、行政コストと過疎地に住む人々の生活の問題を、コミュニティ全体で直視して、最適な解決策を社会全体で考えなければならない必要性を強く感じました。

また実はこの問題は、決して山里の限界集落だけの話でははく、いわゆる「買い物弱者」と言われる市街地の高齢者の方々の生活の問題にも、直結するのではないかと思いました。ネット通販全盛の時代において、流通小売業の大規模集約化が、市場原理の結果として地域社会の意図にかかわらず進んでいく昨今、おそらく日々の懸命な努力にもかかわらず、「買い物弱者」と「流通小売業における負け組」となってしまう人々が、今後どんどん増えていってしまう危険性を強く感じました。

番組の中では、移動マーケットの社会的必要性と、事業としての取組みを模索する地元スーパーの動きも紹介されており、近年都市部で進んできた大手スーパーやコンビニ業界の宅配マーケットへの進出の動きも合わせ、市場原理の中での新たなマーケット開拓の取組みにも期待したいところです。

いずれにせよ、行政コストと人々の利便性、そして市場原理に基づく企業活動の全てに係わる、社会全体で議論すべき問題であるとの認識を、強く持ちました。また便利で安全で、かつ環境にも配慮した移動手段をご提供する使命を負った、私たち自動車業界にも、決して無関心ではいられない問題であることが認識できました。