KNBふるさとスペシャル『封印された男の記録 〜タクシー運転手殺害事件を追う〜』

おはようございます、社長の品川です。私この度、ご縁がありまして、北日本放送(KNB)さんの番組審議会の仕事をお手伝いさせていただくことになりました。第一回目の番組は、6月30日(日)に放送された、KNBふるさとスペシャル『封印された男の記録 〜タクシー運転手殺害事件を追う〜』です。

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番組は、昨年春に富山県高岡市で起きた、タクシー運転手殺害事件の加害者の人生を、一人の記者の目を通して追うところから始まります。
グループに富タクの愛称で親しまれる富山交通が存在する品川グループにとっては、同業の高岡交通さんの尊い人命が失われたこの事件は、衝撃以外の何物でもなく、被害者の運転手さんのご冥福を心からお祈りすると同時に、防犯板・防犯カメラの設置など、タクシー会社のお客様サービス、労働安全衛生の考え方に深刻な影響を与えた、重大事件でした。

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日本では再犯者の割合が年々増加しており、平成23年は43.8%に達し、更生意欲が薄く、身元を引き受ける支援者がおらず、住む家も職もない人が多いそうです。加害者の68歳の男性も、前科12犯、一週間前に刑務所を出所したばかりで、過去に殺人事件も起こしており、このような人物を我々の社会はどのように扱うべきか、番組は重いテーマを投げかけます。

日本の刑事司法制度、更生行政の問題点に迫る、大変意欲的な作品で、途中専門家の先生のご指摘にある通り、社会の死角の存在を鋭くあぶり出す力作でした。と同時に、言い知れぬ不安を感じることになったことも事実です。

問題の解決のためには、日本の刑事司法制度が犯罪者が更生し社会復帰することを前提としている以上、服役中に犯罪者の更生意欲について行政が一定レベルの判断を行い、出所後の更生保護施設への入居や就労支援、見守りの必要性などについて、再犯防止の観点から行政権限の強化が必要ではないかと感じました。社会的コストの増加と、私たち市民の安全な生活に対する問題意識について、政治の世界での国民的議論の必要性を感じました。

改めて被害者の方のご冥福をお祈りするとともに、現在6万人の服役者のうち更生意欲に乏しい人々が、何とか人生の希望を取り戻してくれることを心から祈念します。